ため池管理者のみなさまへ

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【R4.11.13 産経新聞記事】 「水産資源引き継ぐことは私たちの使命」兵庫・明石で開催の海づくり大会 天皇陛下のお言葉全文

2022年11月13日

 天皇陛下は1313兵庫県明石市で開催された全国豊かな海づくり大会の式典に皇后さまとともに臨席し、お言葉を述べられた。全文は以下の通り。

 第41回全国豊かな海づくり大会が、昭和57年の第2回大会以来、再びここ兵庫県で開催され、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 四方を海に囲まれた我が国は、古くから豊かな海の恵みを享受してきました。また、山や森から河川や湖を経て海へ至る自然環境と、そこに育まれる生命や文化は、私たちに様々な恩恵をもたらしてくれます。この豊かな海の環境を保全するとともに、水産資源を適切に保護・管理し、次世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な使命です。
 高度経済成長の時代、兵庫の海も、水質汚濁の深刻化による赤潮の発生や、それに伴う漁業被害などの問題に直面しましたが、関係者の努力により、徐々に水質の改善が進んだほか、昭和57年に当時の城崎郡香住町(きのさきぐんかすみちょう)で開催された第2回全国豊かな海づくり大会以降、県内各地で栽培漁業の推進や、漁場の整備などが行われてきたと聞いています。
 平成7年の阪神・淡路大震災では、水産業を含め、甚大な被害が発生しました。今日に至るまで、多くの被災者が共に助け合いながら復興を成し遂げ、その経験と教訓を将来にわたって伝え続ける歩みが進められていることに、心から敬意を表します。
 現在、兵庫県においては、日本海と瀬戸内海で、それぞれの海域の特性に応じた多彩な漁業が営まれていると聞きます。また、瀬戸内海を豊かで美しい海として次世代につないでいくため、森、川、里、海のつながりの中で多様な生態系を保全できるよう、ため池の掻(か)い掘(ぼ)りや海底耕うんなど、様々な意義深い取組が進められていると聞いています。
 近年は、新型コロナウイルス感染症などの影響もあり、水産業に携わる皆さんの御苦労もいかばかりかと思いますが、本日表彰を受けられる方々を始め、全国各地において日頃から豊かな海づくりに取り組んでいる皆さんのたゆみない努力に深く敬意を表するとともに、こうした活動が、今後とも多くの人々によって支えられ、更に発展していくことを期待します。
 「広げよう 碧(あお)く豊かな 海づくり」をテーマとして行われるこの大会を契機として、海や漁業への理解と関心が更に深まり、豊かな海づくりの輪が、ここ兵庫県から全国へと広がっていくことを願い、私の挨拶といたします。

■ 産経新聞 記事
https://www.sankei.com/article/20221113-M2AR354PRZPXZA5XWXQ445LNGQ/