ため池の紹介
常盤ダム・谷山ダム(淡路市)
2021年11月17日
常盤ダム
(1) 所在地 淡路市北淡町野島常盤
(2) 型式と規模
型式 中心コアー型フィルダム
堤高 33.5m
堤長 94.6m
堤体積 121,000㎥
貯水量 全量 669,000㎥・有効 600,000㎥
満水面積 9.85ha
(3) 水系 野島川
(4) 流域面積 4.0㎢
谷山ダム
(1) 所在地 淡路市東浦町楠本 淡路町楠本
(2) 型式と規模
型式 中心コアー型フィルダム
堤高 28.2m
堤長 151.4m
堤体積 80,000㎥
貯水量 全量 412,000㎥・有効 364,000㎥
満水面積 6.75ha
(3) 水系 楠本川
(4) 流域面積 2.87㎢
事業の沿革
常盤ダム及び谷川ダムは北淡路国営農地開発事業により築造されたダムである。
本事業の受益地区は、淡路島北部の津名郡淡路町、北淡町、東浦町にまたがる津名山地尾根部を中心とした、標高100mから300m、東西4km、南北10kmの丘陵地である。
本地域一帯は、古くから景勝の地として知られ、万葉集に歌われた地名も多く、また海上交通の重要な位置を占めていたこともあった。しかし、最近では阪神、播磨の工業地帯に近接しながら、物理的条件等に起因して、経済的な立ち遅れから、労働力の供給地、或いは、観光保養地といった位置づけになっている。
この様な状況から、本地域の将来の発展を願う人々が集まり、昭和36年、津名郡六町で構成される北淡路開発実行委員会が結成され、山林開発を基幹とする総合開発計画が進められることとなった。
県においても、企画部総合開発課(当時)が窓口となり、関係各課の課長補佐、係長が協力員として構想立案に参画した。
昭和37年に入り、これらの計画策定の段階で、当時好況を続けていた温州みかんを計画作目とする国営開発パイロット事業の導入が検討され、国への陳情が開始された。
事業によるみかん園の造成、ダムによる水源開発及び道路網の整備は地域開発の面からみて大きな魅力であり、折からの明石架橋構想による本州との結びつきと連動して、地元の関心が非常に高まっていた。
昭和38年度には地元の熱意が実り、国営事業の調査地区として指定を受け、41年度まで調査が続けられ、42年度全体実施設計を経て、翌43年度着工の運びとなった。
事業計画
この事業は、津名郡北淡町他二町にまたがる山林、原野等624haを開墾して、480haの農地を造成する。これに対する水源施設として、常盤、谷山ダムを建設し、各団地へパイプラインにより送水する。なお導入作目は当初温州みかんで出発したものの全国的な生産過剰により市況の低迷が続いたこと、及び植栽直後の寒波等の影響から他作目への変更を余儀なくされ、現在ではかんきつ、ぶどう等の果樹の他、飼料作物、野菜等による営農を目指している。
事業の経緯
常盤、谷山ダムは、農地造成地に隣接して造成されたため、用地買収及び補償交渉は比較的スムーズに運び、昭和46年度から48年度にかけて工事が行われ、既に供用を開始している。
※ 本文は、「兵庫のため池誌」(昭和59年発行)第四編各地のため池築造の歴史から一部加筆訂正して転載しています。