【神戸新聞記事R4.4.9】ダムの人気にあやかり…「ため池カード」丹波観光の切り札に 全16種作成
2022年04月09日
篠山土地改良事務所の取組です。
ダムもいいけど、ため池もね-。兵庫県の丹波県民局篠山土地改良事務所が、管内(丹波篠山市、丹波市)のため池を紹介する「ため池カード」(全16種)を作った。題材をダムに絞った「ダムカード」は全国に愛好家がいるが、ため池版は2017年に東播磨県民局が作って以来、兵庫県内2例目。ため池を訪れた人に、対応するカードを11日から無料で配る。
橋や道路、ダムなどを観光資源として生かす「インフラツーリズム」の一環。地域の食文化を支える水源の大切さを知ってもらおうと、普段は目立たない農業用ため池にスポットライトを当てた。
カードは通常のトレーディングカードと同じ、縦約6センチ、横約9センチ。デザインはダムカードにそろえた。両市で計約690カ所あるため池の中から、鍋塚池や細見池など16カ所を選び、各千枚を作成。表面に名称と空撮写真を、裏面に所在地や面積などの情報を載せた。鍔市ダムや八幡谷ダムなども農業用のため池に含めた。
同事務所によると、丹波市にある分水嶺「水分れ」に象徴されるように、丹波地域は瀬戸内海側と日本海側に注ぐ河川の最上流に当たる。下流と比べて水量が乏しいため、江戸時代から盛んに水利開発が進められた。カードのため池の多くは、近代土木技術を用いた昭和期の改良工事で現在の姿になったという。
11日から、ため池が写った自撮り写真を同事務所で提示すると、撮影した池のカードをもらえる。池が所在する市の市役所でも受け取れる。いずれの窓口も対応は平日のみ。各池の情報やカードの入手方法は、県のホームページでも公表している。
同事務所の横田欣仁所長は「丹波地域のため池は谷あいに造られ、自然が豊かなのが魅力。生活圏から離れているため規模も大きく、近くで見るとスケール感がある。ぜひ実際に足を運んでカードを手に入れてほしい」としている。
丹波県民局篠山土地改良事務所TEL079・552・7419
(那谷享平)
■1枚6万円の「レアもの」も… ダムカードの波及効果狙う
丹波県民局篠山土地改良事務所が「ため池カード」を作った背景には、ダムをPRする「ダムカード」の人気ぶりがある。2007年に国土交通省などが作り始め、各地の自治体に広がった。カードを求めて全国を巡ったり、高値で買い取ったりするコレクターもいる。
国交省によると、ダムカードは今年1月1日現在、全国で765種類ある。兵庫県内では武庫川水系の青野ダム(三田市)や市川水系の生野ダム(朝来市)など29カ所が選ばれている。
丹波県民局も三宝ダム(丹波市)など3種のダムカードを作っており「遠方から自転車や車で旅行しながら訪れる人が多い印象」と担当者。淡路島でも昨年、地元高校生が自転車で島内のダム10カ所を回って全カードを集めたことが話題になった。
北海道など一部のダムのカードは、ネット上で「レアもの」として取引され、6万円もの値段を付けることもある。こうしたカードへの支持に目を付け、同じ形式でため池カードを作った同事務所は「おいしい米や野菜を作るには、ため池が欠かせない。水源の大切さを知ってもらい、地域の自然を守っていくきっかけにしてほしい」と語る。(那谷享平)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202204/0015205389.shtml?fbclid=IwAR1U2hxDLHZV_zFctIzGXqfhZLEtQ2cuUWq7jOGh8oVbpJUz50tFBxYx28c