坂折池(赤穂市)
2021年08月30日
(1) 所在地 赤穂市西有年
(2) 型式と規模
型式 中心刃金式土堰堤
堤高 11.1m
堤長 本堤45.0m、副堤80.0m
貯水量 240000m3
満水面積 5.6ha
(注) ため池の諸元は現況を示す
(3) かんがい地域とその面積 赤穂市西有年の千種川支流長谷川左岸、上組、北組の一部約22haである。
(4) 池の造られた経緯
この坂折池は、300年前の天和元年(1681年)頃に付近水田22haのかんがい用水源として築造されたものであると言われているが、詳細な文書は残されていない。
(5) 堤体の特徴
本池の堤体は、貯水容量を多くするため、図2のように四段の石段を築いて立体化し、その中央に木管を配し、水の調整をしている。有年地区には、ため池が15ヵ所あるが、このような階段式は本池だけで、他のほとんどが法面工法として石張工が採用されている。
昔から維持されてきたこの工法も、長い年月による堤体の老朽化により、昭和56年度から、堤体の改修工事にともない姿を消すことになった。
(6) 改修の経緯
築造後約300年経過しているため、何度か改修されていると思われるが、これらの記録が残されていない。
最近における小改修歴は表1のとおりである。
さらに近年にいたり、底樋(木樋管)の老朽化により漏水が多く、また上流面の石張工も陥没が著しく、本体からの漏水もあり危険であるため、ため池等整備事業(小規模)により、赤穂市で昭和56年から改修に着手した。
改修事業の概要は表2のとおりである。 なお池の北東部の副堤は、満水面上の余裕高が不足のため、第二期工事として延長90mの間、堤塘嵩上げ(平均0.6m)も含み、傾斜コアー型土堰堤(堤高平均6.0m)として改修する計画である。
※ 本文は、「兵庫のため池誌」(昭和59年発行)第四編各地のため池築造の歴史から一部加筆訂正して転載しています。